よろぶん あにょはせよ〜

한강 작가님ノーベル文学賞受賞記念リバイバル上演中の
韓国映画「菜食主義者」
영화 채식주의자
を観に行ってきました。

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鐘路3街にあるCGVピカデリー1958へ



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【作品紹介】
한강 작가님の長編小説「채식주의자」原作

2010年に劇場公開されたインディーズ映画
韓江 작가님ノーベル文学賞受賞を記念して劇場リバイバル上演
『ノーベル、文化が来た』特別価格 10000ウォン

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映画のお供は、
ポップコーンとスプライトZERO

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劇場には、私より10歳くらい上のおばさま方から学生さんくらいまで幅広い層
リアクションがみんな同時で面白い

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【あらすじ】
普通に暮らしていた主婦ヨンヘは突然ベジタリアンを宣言し、彼女 の夫をはじめとする他の家族は慌てる。
家族の食事中に肉を食べ ないヨンヘに父は肉を食べることを強要し、暴力をふるう。
突然、ヨンヘは発作を起こしナイフで手首を切った…


【制作・キャスト】
임우성監督
ヨンヘ役 채민서 배우님
ミノ(형부)役 현성 배우님
ジヘ(언니)役 김여진 배우님

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あらすじは、本が大好きな문쌤がわかりやすくさっくり紹介してくれているこちらをどうぞ👇




【レビュー】
人間として生きていると時々、生きているだけで生き物を殺して食べ、自然を破壊していることに嫌気がさして木になりたいとか花になりたいとか思うことって誰でもあるじゃないですか。

それに加えて、ヨンヘは幼少期に家で飼ってた犬が夕食に出てきたり(十数年前まで家で飼っている動物は配偶動物ではなく基本食料でした)、お父さんが家庭で暴力を振うところを直に目にしている。

ヨンヘは「夢を見たの」っていうけど、「たかが夢で」って感覚なんだと思うんだが、夫をはじめとしたこの家の男たちはどんな夢なのか聞かないの。
ミノが聞いたことで初めて口にする。
不特定多数の誰かの「顔」だと。
この前に、フィルムアーティストのミノが仕事をするシーンで、あるフィルムを見ている。
ミノにはそれがどんな「顔」なのかなんとなくわかってしまったんだと思う。
というか分かったと思ってしまったんだと思う。

ミノがヨンヘに「裸体に花を描く」って言った時のヨンヘの目が、
モデルの身体に描かれた花を見た時のヨンヘの表情が、
全く生気の無かったヨンヘの顔に血が一気にめぐる感じがすごい。

この映画には性行為シーンがあるんだけど全然エロティックじゃない。
背徳的なシーンなのに、なんの感情も湧かないの。生き物じゃない感じ。
逆に、형부の方が可哀想な気分になる。
형부が鏡で自分の身体をみて、後輩にモデルを頼むところとか同情しちゃいけないのに可哀想。

どっちが誰の夢だったのか…

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私はまだ小説「菜食主義者」は読んでいないのだけど、受賞発表の日からハンガン作家の本を少しずつ読み進めていて
『ザ・エッシェンシャル(디에센셜)』っていう作品集を読み終わって
今は、『別れを告げない』を読んでるところ

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『ザ・エッシェンシャル』っていう作品集は、ハンガン作家の30年作家人生をギュっと集約させた本
2023年出版なので、出版年だけでいえばノーベル賞の発表に最も近い日時に出版された本

디 에센셜: 한강

文章が全然直接的な発言をしないのにすごく気持ちがいいなって思ってて、比喩がとても柔らかいのよ。
まだ私の読解力では、何が訴えたいかまでは読み取れないんだけど文章を読んでいて気持ちがいいの。
この心に染み込む文章で「소년이 온다」を読んだら、メンタルやられるんじゃないかと今から恐れ慄いている。

それでいて、ものすごく集中して読まないと鳥が飛んでいってしまうようにどこかに行って溶けてしまいそう。
大文字Nの人の脳の中って感じ。

『ザ・エッシェンシャル』の編集長👇


エッセンシャルには、『古代ギリシャ語の時間』って有名な長編小説が収録されているんだけど、視力を失った男と言語を失った女の物語。
『古代ギリシャ語』っていう話者・使用者が少ない言語を選んで学んでるんだけど、
もし『古代ギリシャ語』より話者が少ない講義があったならそっちを選んでいたと思うと作中で語っている。

言語に対する작가님の考え方が染み込んでいるようでとても興味深く読めた。

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この本には、한강 작가님の詩や散文も収録されている。
散文には、家族や学生時代の話、私的な作品への想いなどが描かれている。

『紙のピアノ』中で中学生になった時「1年でいいからピアノを習ってくれ、そうでないと私たちが耐えられないから」ってお父さん(한승원 작가님)に言われてしぶしぶピアノを習いに行くところがあるんだけど、「紙のピアノ」を見るたびに心の奥がジュッてなるお母さんの気持ちが文面から伝わってくる。

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ハンガン作家は光州生まれで、お父上が本格的に執筆活動を始めたことで518の直前にソウルに引っ越している。
この時のエピソードを読んで、私が普段から518のドキュメントを見て疑問に思っていたことが解決して目から鱗が落ちた。

ノルウェーに「未来図書館」っていうプロジェクトがあることもこの本で初めて知った。
1年に1人の作家を選出し本の内容は極秘で2114年まで保管され、オスローに森を植樹して2114年にその木を使って100編の本を出版するっていう企画。



한강 작가님は5年前にこのプロジェクトに選出されていて、作品はすでに未来図書館に保管されている。
私たちは絶対読めない한강 작가님の新作。
散文ではこのプロジェクトに対する想いも書いていて、100年後もこの言語を読む人間がまだいて、本が作れる健康な木が育っていることへの祈りが込められている。

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『別れを告げない』の出版後にっていう散文も収録されてて、私は図書館の予約順のせいで『ザエッシェンシャル』→『別れを告げない』の順番で読んでいるんだけど、この順番で読むのが正解だったなって思わされた。
こんな想いをして書いた小説なのを知って読めていることが幸いだと思ったのでした。

ハンガン作家の本買おうと思うけど
どんな文体かなー?どんな作家さんなのかなー?読めるかなー?
って思っている方がいたら『ディエッセンシャル』ぜひ読んでほしい。
長編、単編2本、詩、散文が入っていて15000ウォンくらいなので💕










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